四元素テーマにソロリサイタル 2017/11

3年ほど前にアイデアが浮かんで以来、計画し続けてきた私の新しいプロジェクト「Four Elements(フォー エレメンツ)」が遂に今月、スタートします。

   四元素である水、火、風、大地をテーマにした新シリーズで、各テーマに基づく4つのソロリサイタルのプログラムを年1回のツアーで演奏します。

   日常生活が常に便利になっている今の世の中で、私たちは自然な生き方をしているのでしょうか。人と人とのつながりや時間の共有に重きを置いているでしょうか…。

   そんな疑問が心に湧(わ)くため、紀元前ギリシャの哲学の四元素をもとに、音楽を通じて人間の本質をお客さまと追求していきたいと思いました。

   多くの哲学者によって紀元前から現在まで語り継がれてきたこの四元素は、それぞれの国や文化、宗教などによって解釈が異なり、そこから多くの伝説や思想、意味などが生み出されました。

   音楽においてもこの四元素は作曲家の想像力をかき立て、描写的なイメージに留まらず、文学や哲学に基づいた深い意味を持つ作品を生み出すきっかけになりました。

その作品の数々は、明確、繊細、純粋なものから残酷、情熱的、悪魔的なものまで多種多様です。たとえそれが幻想や想像の世界だとしても、さまざまな詩情や感情は常にこの世界に通じています。実際、多くのピアノ曲を調べていくと、重要なレパートリーがこの四元素で埋め尽くされていることに気づきました。

   最初の回は「水」がテーマですが、メンデルスゾーン、フォーレの描くゴンドラ、ラヴェルやリストの表す噴水の情景、そして武満徹(たけみつ・とおる)の音楽から聴こえる儚(はかな)く繊細な雨の雫(しずく)のイメージは生命や人生、そして愛そのものへのメタファー(暗喩)に変化し、この上なく深い世界を生み出します。

   自然が生み出したさまざまな作品に触れ、この世界の美しさを探求していきたいと思います。