現在ヨーロッパで、高度なテクニックと美しい音色、若々しい感性と深い楽曲理解で最も注目を浴びている若手ピアニストの一人である。特に、『ダイナミックな音楽表現』(ハノーファー・アルゲマイネ紙)や『天使の翼の先端が頬に触れた瞬間を感じさせるピアニシモ』(フランクフルター・アルゲマイネ紙)など、ヨーロッパの聴衆から熱狂的な支持を得ている。2000年、ドイツ最大の音楽批評誌「フォノ・フォルム」よりショパンの練習曲全曲録音に5つ星が与えられたほか、02年に第13回新日鉄音楽賞、04年にアメリカ・ワシントン賞、06年に第8回ホテルオークラ音楽賞、07年に第17回出光音楽賞を受賞、14年に平成25年度文部科学大臣新人賞受賞している。
1983年東京生まれ。東京音楽大学付属音楽教室を経て、93年よりヨーロッパ在住。9歳よりリサイタルを開き、オーケストラと共演。ヨーロッパで研鑚を積みながら次々と演奏活動を重ね、その足跡はベルリン、ハンブルク、ミュンヘン、ウィーン、ザルツブルク、パリ、アムステルダム、ブリュッセル、チューリッヒ、モスクワ、アメリカなど、年に40カ所以上に及ぶ。
これまでに、国内主要オケをはじめ、ベルリン響、フランクフルト放送響、ハンブルク北ドイツ放送響、ハノーファー北ドイツ放送響、南ドイツ・フィルハーモニーコンスタンツ、フィンランド放送響、サンクトペテルブルク響、フランス国立放送響、ポーランド国立放送カトヴィツェ響、シンガポール響、スペイン・ビルバオ響、フランス国立リヨン管弦楽団などと、また、小澤征爾、大植英次、シャルル・デュトワ、ルドルフ・バルシャイ、デニス・ラッセル・デイヴィス、ゲルト・アルブレヒト、サカリ・オラモ、アレクサンドル・ドミトリエフ、オスモ・ヴァンスカ、ローレンス・フォスター、エリアフ・インバル、クリスティアン・アルミンク、ユベール・スダーン、ワシーリ・ペトレンコ、準・メルクル、ジョナサン・ノットなどと共演している。
2005年11月にニューヨークのカーネギーホールでデビュー・リサイタルを行い、高い評価を得た。2006年には、ザルツブルク音楽祭で日本人ピアニストとして2人目となるリサイタル・デビューを果たし、西村朗が小菅優のために書いた「カラヴィンカ」を世界初演したことでも話題を呼んだ。また、2008年にはサー・ロジャー・ノリントン指揮/シュトゥットガルト放送響日本ツアーにソリストとして出演。同年、NHK交響楽団定期ではタン・ドゥンのピアノ協奏曲「ファイア」を作曲家自身の指揮で日本初演を披露した。2009年には水戸室内管定期演奏会で小澤征爾と再び共演、大植英次指揮ハノーファー北ドイツ放送フィルとの日本ツアーも行った。2010年には大植指揮の同楽団定期演奏会に再度招かれ、モーツァルトのピアノ協奏曲第27番K595を演奏。また、ザルツブルク音楽祭で、イーヴォ・ポゴレリッチの代役としてフィリップ・ヘレヴェッヘ指揮カメラータ・ザルツブルクとショパン:ピアノ協奏曲第2番を演奏し、絶賛を博した。
室内楽にも積極的に取り組んでおり、ジャック・ズーン、カール・ライスター、ポール・メイエ、豊嶋泰嗣、庄司紗矢香、佐藤俊介、イェウン・チェ、アントワン・タメスティ、堤剛らと共演。2010年には、樫本大進、川本嘉子、趙静とのピアノ・カルテットで室内楽演奏会ツアーを行い、好評を博した。また、同年に結成された、国際的に活躍する若手演奏家たちによる水戸芸術館のレジデント・アンサンブル、「新ダヴィッド同盟」のメンバーとして活躍している。リサイタルにおいても、紀尾井ホール(東京)、いずみホール(大阪)でベートーヴェンのピアノ・ソナタ全曲演奏会(全8回)といった意欲的なシリーズをスタートするなど、着実に活躍の場を広げている。
ザルツブルクをはじめ、ラインガウ、シュレスヴィヒ=ホルシュタイン、シュヴェツィンゲン・モーツァルト、メクレンブルク・フォアポメルン、フランスのラ・ロック・ダンテロン、ラ・フォル・ジュルネ、サイトウ・キネン・フェスティバル、姫路国際音楽祭など、多くの国際音楽祭から招かれ各地で活躍している。
録音は最新盤の「ベートーヴェン:ピアノ・ソナタ集第5巻『極限』」を含む15枚のCDをソニーより、また「リヒャルト・シュトラウス&フランツ・シュトラウス ホルン&ピアノ作品集」(オクタヴィア・レコード)、「モーツァルト:ピアノと管弦楽のためのロンド 他」(ワーナーミュージック・ジャパン)をリリースしている。