音楽家が美食家になる理由 2017/10

音楽と接していると常に感性が必要とされ、自分の感じていること、観察していることを含めてすべての経験がそのまま音楽に反映されます。

   さて、音楽祭などでたくさんの音楽家に知り合うと、彼らのたくさんの知識と興味の引き出しに感心させられることがあります。音楽に限らず、人それぞれのこだわりの強さが発揮される分野があるようです。

   たとえば、コンサートツアーをしていると、ほとんどの音楽仲間の間で共通するのが、旅先でその地の美味(おい)しい特産物を食べることです。音楽家の知り合いのほとんどがかなりの美食家で、食べるものには音楽と同じぐらいこだわりがあるようです。

   でも、食べるのが好きなことには欠点もあって、音楽家はいつもコンサートが終わって遅い時間に急に食べたり飲んだりするので、あまり健康的な生活をしているとはいいがたい面もあります。

   そのため家にいるときはなるべく外食をしないで材料や量などを考えて自炊している人も多いわけです。

   また、食べるのが好きすぎてあまりに贅沢(ぜいたく)な外食が多くなり、お金が勿体(もったい)ないため自分で料理するようになったという人もいて、プロのように料理の上手な人、ワインコレクター、レストランを経営している人さえいます。

演奏には自発性、独創力と多様なセンスが必要とされ、作品を深く掘り下げ、「煮詰める」ことはとても大切です。自分のアイデアを固め、構成を考え、想像力を使い、頭に浮かんでいるものを音楽という形にして人に提供します。一方の料理では、自分の作りたいものを想像して、買い物にいって好きな素材を選び、合うものを結合させ調理する。なんだか共通しているのかもしれません。

   とことん追求することが音楽をより深く、より「おいしく」お客さまに堪能してもらうことに繋(つな)がっていたら嬉(うれ)しいです。