公演前の緊張感が生む?!幸せ 2017/6

あっという間に次の公演が近づいてきました。大好きなアーティストたちと素晴らしいプログラムを演奏することにわくわくすると同時に、緊張感も出てきました。公演前の緊張というのは、私たち音楽家が逃れられない怖い感覚ですが、どう防いだらいいのでしょうか。

   まず、大事なのは準備です。公演で自由にピアノを弾くためには、どの曲も120%というくらい練習しておかないと十分でないと感じます。そして、作曲家の大事な指示を見落としてしまわないために、作品の隅々まで読んでおく必要があります。ただ、いくら準備しても不安をぬぐえないこともあります。ステージの上で大勢の人たちに見られる、聴かれるということそのものが恐ろしく感じるのかもしれません。

   でもそれより、お客さま一人一人が大事なお金を払って聴きにきてくれていると思うと、最高の演奏を提供しなくてはいけないと責任を感じるのです。その上、尊敬する作曲家の愛してやまない作品を演奏するのですから、責任感は倍増します。

   楽屋をうろうろする人、ため息を繰り返す人、手が冷たくなって固まっている人…。演奏前のアーティストの様子はさまざまです。ステージ直前の心臓の高鳴りを落ち着かせるため、深呼吸をして体操したり、背中を思いっきりたたいてもらったりしている人もいます。私は親しい友人にハグしてもらうことによって落ち着くこともあります。

でも、いざ弾き始めると、それまでの不安が一気に吹き飛んで、音楽そのものへの集中に変わり、何て幸せなんだと思えるのです。

   その音楽がもたらす幸せな時間をお客さまと共有できることを考えると、このステージ前の恐怖も、もしかしていい準備なのかもしれません。