豪州の大自然「生きる」を実感 2017/3

リサイタルツアーのため、今まで行ったことがない大陸に行きました。オーストラリアです。

   印象的だったのは、大都市でも人々がバタバタしておらず、親切で温かいことでした。魚介類も肉もおいしく、ホールも公演のお客さまも含め、良い思い出ができました。また、日常から離れ、新しい土地に行ってみると、自分が持つ疑問や悩みがぱっと晴れることもあります。

   そもそも人間は何のために、どうして生きているのか、ということは、私にとって永遠の疑問です。とりわけ、人間が自然に存在し、生きることはどういうことなのか-。日々、頭を悩ませています。

   公演の合間、首都キャンベラから50キロぐらい離れた野生動物を観賞できる所に行きました。車で回るのですがとにかく広い。黄色から赤茶色の土地が延々と続き、その中に緑が点在していました。

   突然、遠くの方にたくさんの茶色い点が見え、「あれは何だ」と車を止めてみました。よく見ると、あちこちにカンガルーがいました。立ち止まってはぴょんぴょん移動し、また立ち止まっては草を食べていました。

恐らく、ここではごく普通の光景が、私にはかつて経験したことのない感動を呼び起こしました。大自然の中で動物が一生懸命生きている。子供を守り、日々を懸命に生きている…。これこそ「生きる」ということだと納得しました。本来、知的な生き物のはずなのに、くだらない争い事や欲に動かされて人生を無駄にしている人間だって、それが「生きる」ということの根源だったはずです。

   感動とともに日常のささいな悩みが吹っ飛びました。人々の心を動かすことは私たちアーティストの使命ですが、私たち自身もどこかで感動を求めているところがあると思います。オーストラリアの大自然でこんな感動が待っていたとは…。全くの予想外でした。