芸術でしか味わえない幸せなひととき 2016/12

先月、欧州オーストリアでPRやマネジメントの仕事をしている友人とともに、キャリアの組み立て方やアーティスト・ブランディングに関する講座を日本の音楽大学で開きました。

   自らの経験などをもとに、学生さんたちに欧州と日本で仕事をする上でのネットワーク作りの方法などについて話しました。しかし、自分自身にとっても勉強になるとともに、いくつかの疑問がわいてきました。

   そもそもキャリアとは何なのか。1年に100回ぐらいの公演をする▽教育に専念する▽家族を築きながら演奏活動をする-というように、人それぞれ目標が異なる中、どういう活動をしたいかで、それは変わってくると思います。

   そして、その分野で積極的にネットワークを作り、自分の個性は何なのかを見つけ、宣伝をして、1つの公演から次のお仕事の話が来るよう活動する。でも、このように言ってしまうと非常に戦略的で、この職業の意味を感じられません。

もともと、この職業は芸術へのパッション(情熱)から生まれたのではないでしょうか。精神性と音楽性を同時に高めながら、演奏の良さで自然と知名度が高まり、本当に好きな音楽家との共演を実現するというようなキャリアが築ければ理想的です。

   とはいえ、そう簡単にいくわけでもありません。とにかく音楽が好きで、音楽がなくては生きていけない、という思いから入っても、自分が生きていくため、そして家族を養わねばならないため、お金やビジネスばかりに興味が行く人も少なくない業界です。

   しかし、いろいろうまくいかなくても、音楽とともに一瞬でも幸せな時間を味わうことで、この職業を選んで良かったと思うことが私にはあります。

   ビジネスもキャリアも忘れ、芸術でしか味わえないこの幸せなひとときこそ、何にも代えられない私の人生の柱だと思うのです。