沖縄で改めて感じた「共通の情熱」 2016/10

コンサートツアー中、私がとても感銘を受けることは、たくさんの場所に旅した際、その町を知るだけでなく、当地の人々と触れ合い、心の家族ができることです。

   もちろん、いつもそうではなく、1人で行動してすぐに帰ってくるときの方が多いぐらいです。ですが、主催者さんの意向でその場所を案内してくださったり、その地の食べ物をごちそうしてくださったりして仲良くなることもあります。

   今、リサイタルツアーの最中なのですが、20代前半の頃から行っていて、実は私のファンクラブがある沖縄で久しぶりにリサイタルをすることになりました。今回、7年ぶりにまた、ここの人々に会えるのが楽しみでした。

   前回、少し時間があったので、翌日にひめゆりの塔や平和祈念公園に連れて行っていただきました。戦争の残酷さと同時に、皮肉にも美しい海を前にして、言葉にできないような感情がこみ上げてきたのを今でもよく覚えています。

   演奏するとき、もちろん一つ一つの曲の背景やその音楽のもたらす感情に入るのですが、時々、その地の人を知ると、ここに住む人々のために弾こうという思いが強くなり、よりパーソナルになることがあります。

ベートーベンのピアノソナタを弾いているとき、何だか弾いている間に沖縄の海の波が想像の世界に出てきて、その波の中には人々一人一人の悲しみや喜び、そして、愛情や情熱が入っているように感じました。

   終演後、皆さんと思い出話や音楽漫談をしながら、ラフテーやゴーヤーチャンプルーはもちろん、島らっきょやもずくの天ぷら、食べたことのないやぎのお刺し身などをごちそうになりました。同じ日本でもこんなに違う食文化があるのはとても面白いと思いました。

   音楽という共通の情熱を分かち合うことによって遠い地の人々と知り合えるということは、この職業をやっていて本当に幸せです。今度はどんな出会いが待っているのか、次の公演が楽しみでなりません。