いざ!!「ベートーベン詣」へ 2016/6

ベートーベンのピアノソナタ全曲演奏会が昨年終了したところで、新しいプロジェクトを始めました。彼の作品に触れると、好奇心がどんどん湧いてきて、もっと深く掘り下げたくなります。そこで、室内楽や歌曲などピアノ付きの作品を全曲、徐々に取り上げるプロジェクト「ベートーベン詣」をスタートさせました。

   彼の作品一つ一つに尊敬の念を込めて詣でる、という意味でこのように名付けましたが、名付けた後に実はこの言葉は既に存在していたことを知りました。

   敬愛するベートーベンに会うためにウィーンを訪れ、ベートーベンと語るという内容のワーグナーの音楽論的な小説のタイトルが、日本語では「ベートーベン詣」と訳されていたとか。

   まず、5月にベートーベンのピアノトリオ6曲を7公演のツアーで演奏しました。ピアノトリオは彼の室内楽作品の中で重要な位置を持っていますが、中にはほとんど演奏されないものもあります。

例えば、最初の3つのトリオ。当時、ハイドンのもとで学んでいた若きベートーベンの記念すべき作品1は、初めてウィーンで出版され、絶賛を浴びた傑作です。快活でユーモラスな作品の中には、既に斬新な展開が見え、後の作品のドラマチックな要素やハーモニーの多彩さも表れています。

   こんなに有名な作曲家でも、発掘していくと、知られざる素晴らしい作品が出てきます。特に日本では、タイトルが付いた有名な作品ばかりが演奏される傾向があるように感じますが、ほとんど演奏されない作品を発見し、感動したという反応を今回のツアーでいただき、このプロジェクトは意味あるものだ、と実感しました。

   そして、ベートーベンはたくさんの後世の作曲家に影響を与えています。そう考えると、限りないプログラムの組み合わせが想像できるので、ロマン派の作品をはじめ、新曲を委嘱することも考えています。彼のおかげで新しい企画が生まれると思うと、考えただけで心が弾みます。