人々と感動を共有…これぞ原点 2016/5

最近、いつもとは違う形でコンサートを2つ聴いてきました。

   近年、ベルリン・フィルはドイツ中の映画館で、1年にいくつかの公演をライブ放映しています。大好きなワーグナーとブルックナーのプログラムの公演がミュンヘンの映画館で聴けることが分かった私は早速、駆け付けました。

   指揮者とオーケストラの一人一人の全身全霊な姿を大スクリーンで見ながら、ステレオから出てくる音を聴くと、生の公演と違うディテールを見たり、聴けたりしました。どんどん引き込まれていき、周りのお客さまも集中して身動きもせず、スクリーンを“ガン見”。素晴らしい演奏が終わると、思わずスクリーンに向かって拍手している人もいました。

   ベルリンまで足を運べない人たちがドイツ各地で演奏をライブで聴けるなんて、これは技術の発展の優れたことだ、と実感しました。

   そして数日前、東京でチャプリンの「モダン・タイムス」を大スクリーンとオーケストラの生演奏で体験できる公演がありました。

大好きで何回も見た映画でしたが、コンピューターやテレビの前に座って映画を見るのとは迫力も感動もまるで違う体験で、チャプリンの天才的な演技とユーモアを前に、聴衆の私たちはわれを忘れ、おなかを抱えて笑いました。

   不公平な厳しい社会の中で幸福を求めて頑張っていく主人公たちは、最後にまたもや道端にほうり出されてしまいます。

   そんなときでも立ち上がろう、「スマイル」しようというラストシーンがいつも心に突き刺さります。もう何回も見た映画のはずなのに、このようにお客さまと一緒に体験して、大スクリーンの迫力を前に生の音楽の響きに耳を傾けると、感動はいつも以上に増して、気づくと涙がこみあげてきました。

   この2つの公演から基本的なことを思い出させられました。人々に囲まれ、一緒に笑ったり、泣いたりして感動を共有することこそ、音楽の原点なのではないでしょうか。