うなる低音…「コントラバス」の表現力に魅了され

梅雨でジメジメしていますが、湿気のせいでピアノの音が思うようにならず、頭を抱える毎日です。

 そんな中、先日、コントラバスとの公演がありました。ピアニストは普段からバイオリンなどいろいろな楽器と共演できますが、それでもあまり共演の機会がない楽器があります。今回のコントラバスもその一つ。新たな出合いは面白いものです。私は以前から低音好きで、管楽器でもファゴットと録音したこともありました。

 ドイツの「シュトゥットガルト放送交響楽団」で弾いているコントラバス奏者の幣隆太朗さんは、音楽にこの上ない情熱を持っていて、ドイツのオーケストラを聴いたとき、そのコントラバスの音に衝撃を受け、日本からドイツに渡り、夢を追っている音楽家です。一緒にデュオのCDを録音したい、と言われたときはすぐに協力したくなりました。

コントラバスの歴史を追っていくと、今まで知らなかったことがたくさんありました。例えば、19世紀のコントラバス奏者のボッテシーニはイタリアで崇拝されている音楽家で、オペラの合間に舞台に出てきて、超絶技巧の曲を次から次へと演奏したといわれています。それだけではなく、ヴェルディのオペラ「アイーダ」を初演した指揮者でもあり、そのお葬式には数えられないほどの民衆の行列ができたとのことです。

 コントラバスの響きは地面から「うなる」ような音で、オーケストラには欠かせない、土台を作っている楽器だと思います。ソロ楽器として弾かれているのを聴くと、深いところからくすぐられるようなユーモアや、ものすごい迫力で苦しみを訴えてくる力強さなどを感じ、この楽器ならではの表現力に驚くばかりでした。

 この共演をきっかけに、ピアノの低音を弾くときにコントラバスを想像して弾く機会が増えそうです。素晴らしい楽器との出合いは私に新たなインスピレーションを与えてくれました。