譜めくりの方と楽しんで共演

1月から2月にかけて、バイオリニストの川久保賜紀(たまき)さんとドイツでツアーをしました。11日間で10公演というかなりハードなスケジュールでしたが、短期間でドイツの南から北まで旅行し、たくさんの町の温かい主催者やお城、ホールなどを知ることができ、とても楽しいツアーでした。

 室内楽の公演の場合、ソロのときとは違って楽譜を見て弾きます。そのとき、ピアニストにとって、とても大事なのが譜めくりです。譜面をめくるという負担をピアニストから取ってくださり、ピアニストの3つ目の手となって、音楽に集中させてくれるという大切な役割なのです。

 ほとんど暗譜をしていても目の前にある楽譜が見やすくないと、落ち着いて弾けません。慣れている人はめくるちょっと前にさりげなく立ち上がって用意し、ピアニストの見るリズムに合わせ、ページの終わりぐらいでさっとめくります。ゆっくりな曲のときは曲に合わせ、静かにゆっくりめくり、速いときは一瞬のうちにめくってくださると最高です。

10回の公演が続き、10人の譜めくりの方と知り合いました。だいたい音楽大学の学生さん、地元のピアノの先生などですが、前から主催者の方が頼んでいる人のときもあれば、見つからず、インターネットで探すこともあるようです。中には全く譜めくりの経験がなくて震えていたり、譜面の全く違うところでめくられたり、座ったままめくられ、手で譜面の半分を隠されてしまい、気になってしまうこともありました。

 でも、譜めくりを楽しんでいる人もいました。音楽が大好きだということが伝わってきて、本当に私たちと一体になって音楽に合わせてめくってくださったときは感謝の気持ちでいっぱいです。

 楽譜を返しに楽屋に来てくださったとき、「こんなに素晴らしい公演で手助けができてすごく刺激になったわ」と向こうも幸せそうだと、こちらも達成感が湧いてきます。これからもこんなコラボレーションができたらうれしいです。