演奏も「冷凍」後「解凍」で…

新年早々、公演がありました。ニュー・イヤーコンサートで演目はチャイコフスキーの協奏曲第1番。前回弾いたときから8年が経ち、フレッシュな気持ちで準備できました。
 チャイコフスキーはこの曲を34歳の時に書いており若々しい勢いや民族的なリズムと同時に孤独感と葛藤が見えます。一見華やかで劇音楽のようなドラマチックさを持つ彼の作品からは何かを訴える秘めたメッセージも伝わってくるのです。
 一つの曲を何回か弾いてからしばらく「冷凍」しておいて時間が経ってから「解凍」すると、アプローチや想像が変わって新しいアイディアが浮かびます。この曲も前は快活に激しく弾いていたところを、より濃厚に弾きたくなったりして雰囲気が変わりました。
 この8年間にチャイコフスキーのオペラやバレエ作品を見る機会がたくさんありました。協奏曲と同じ時期に彼は「白鳥の湖」を書いており、演奏していると急に黒鳥が想像に出てきたり、バレリーナの可憐な動きが浮かんだりします。
 コンサートが終わり実家に帰ってドラマ「新参者」を見ました。バレエ団をテーマに「白鳥の湖」と「眠りの森の美女」が出てきて、チャイコフスキーの音楽が犯罪の真相にぴったりあっていました。
 さて、この白鳥と黒鳥というのは何を表しているのかよく考えます。どの人間の中にも白い部分の中に黒い部分の種が存在し、それが開花すると黒鳥になってしまうのでしょうか? 
 もしかして黒鳥は逆に白い部分を秘めているのでは?人間はどこかに隠し持っている違う顔があるように思います。そんなことを考える不思議な新年でした。